熊本地震の建物被害を調査していた、日本建築学会の情報が公開されました。参考になるかと思いますので記載します。

建築基準法の現行基準(2000年基準)で建てられた木造242棟のうち、倒壊したものが7棟(2.9%)、大破したものは10棟(4.1%)だ。日本建築学会が5月14日に速報したときは、確認中を含めて倒壊が最大9棟、大破(14日は全壊と表示)が最大8棟としていたので、大破が増えたことになる。
木造については、1981年6月から2000年5月までに建てられた新耐震基準が800棟あり、このうち73棟(9.1%)が倒壊、78棟(9.8%)が大破していた。
鉄骨造は現行基準の倒壊・大破が18棟
日本建築学会の悉皆調査で、木造以外に注目したいのは鉄骨造だ。現行基準(新耐震基準)で建てられた143棟のうち、倒壊が6棟(4.2%)、大破が11棟(7.7%)だ。大破した11棟中3棟は、2000年以降に建てられたものだ。
倒壊・大破した建物では、柱と梁を接合する溶接部の破断が多く見られた。大きな被害を引き起こした要因の可能性がある。
鉄筋コンクリート造は現行基準(新耐震基準)で建てられた20棟の中に、倒壊・大破は見られなかった。 

上記記事を参考に考えると、耐震基準が現行基準の建物でも、間取りに起因する耐力壁のバランスによっては、10%程度は倒壊する可能性があると、考えた方が良いのでしょう。
設計をする私共のような立場の者は、この事をよく認識して、お施主様の間取りをご提案していかなければならないと、痛切に感じています。
お施主様の建物が、その10%の中に入らないようにするのが、私共の仕事であり、多少なりともご要望を変更する事になったとしても、良いと思われる事はご提案してゆきたいと思いますし、どんなにデザインが良くても、耐震が成り立たなければお勧めはしません。
鉄骨だから強いよね。と言われるお施主様も多いのですが、上記記載結果を根拠として、軽量と重量の鉄骨の違い、過去の地震に対しての結果等、お話ししながら、最良の建物を一緒に探って行ければと思っております。